情報過多な現在、ユーザーの消費行動も情報の取捨選択の時点でユーザーに選択権が大きく委ねられるようになってきました。
その中で企業は「新規顧客」を得ることがとても難しくなってきています。

今までユーザーの購買行動は「AIDMA」と言われるような一直線のフローであらわされることが多かったのですが、今回は、大手コンサルティング、マッキンゼーが提唱した「顧客意思決定ジャーニー(The consumer decision journey)」という新しいフローが既存顧客の消費行動に対して説明されており、新たなマーケティング手法への示唆になると思いますので紹介いたします。

The consumer decision journey

顧客は情報を念入りに調べ決定を下していくので、その道筋においてファネル状に人数を減らしていき、残ったユーザーはロイヤリティの高いユーザーとなっています。

https://www.mckinsey.com/insights/marketing_sales/the_consumer_decision_journey

そして、じゃあそのロイヤルユーザーになるまでの道筋にはどのようなフェイズがあり、どのような行動をしているの?を可視化したのがThe consumer decision journeyになります。


http://blog.generalassemb.ly/loyalty-loop-replacing-marketing-funnel/

これらの図では、ユーザーの意思決定フェイズは以下のように分けられます。

Phase1:Initial consideration/はじめの検討

初めの行動は既存の消費モデルと同じで認知・関心からスタートし具体的な検討に進みます。
認知にはマスメディアであったりキャンペーンなど多くのユーザーに見てもらえるようなメディアが有効的です。

Phase2:Active evaluation/能動的な評価

比較検討フェイズでは、ユーザーは積極的にインターネットや、家族・知人の口コミなどで情報を取得し、検討を行います。
コンテンツマーケティングのようなオウンドメディアでこのフェイズでいかにお客さまと接点が取れコミュニケーションが取れるかが重要と言われていますし、SNSによるキャンペーンも有効です。

Phase3:Moment of purchaase/購入

検討の中で選ばれ購入という行動を行ってもらう間も顧客接点の重要な一つです。
この間にも、カートの利用などより細かい接点はたくさんあることがわかります。

Phase4:post purchase experience/購入後体験

商品が手元に届き、この部分が一番顧客にとって価値を感じるときであり、接点として一番深いかかわりを持っているときです。
商品自体だけではなく、パッケージ・カスタマーサポート・商品レビュー投稿など、他にもコミュニケーションを取る方法がたくさん存在します。

Phase5:Loyality loop/ロイヤリティ

購入後体験によりブランドに対して「好きだ!」という気持ちを持ってもらえれば、その後はロイヤリティループに入ります。そのためのきっかけとして、アフターフォローカード(メール)や、web上でのロイヤリティプログラムなど特殊なコミュニケーション・体験の提供が有効です。

ここで、購入後体験に加えブランドに関する濃い体験をしていただくことは第2フェイズでユーザーに提供できるどんな情報よりも、ユーザーにとってなによりも自分ごと化でき高い価値を感じてもらうことになり、つまり、ここでロイヤリティされていればブランドチェンジされにくくなる、ということであり、アップセル・クロスセルに大きく寄与します
また、このフェイズのお客さまが商品の価値を周りの知り合いやSNSで語ってくれる、というアンバサダーとしての役割を担うため、第2フェイズにいる他のお客さまに対して、ポジティブな影響を及ぼすことが可能となります。

以上のフェイズの行動を踏まえ先の図をもう少し噛み砕くとこんな感じのイメージに。検討フェイズでは他の商品も含め視点がいろいろな所に行きますし、Loyalty loopでの行動は他者の検討フェイズに影響を与えます。

The consumer decision journey

…図が下手ですいません…

まとめ

今まで、購入後の顧客フォローはCRMの部門などが取り扱う企業が多いかもしれませんが、上記のように、マーケティングシナリオの中でもとても大きな役割を担っています。

また、いわゆる広告のようなペイドメディアよりも長期的にはもちろん、短期的にもコンバージョンの確度が高いマーケティングが可能な感じもしますし、そのためには商品自体など今まで「マーケティング」として取り扱ってなかったものもすべてお客さまとの接点であり、コミュニケーションのきっかけであることも感じていただけたかと思います。

このThe consumer decision journeyを書きながらプランニングに落とし込むイメージをしていくと、WEB、広告といった媒体で縦割りするのではなくお客さまといかに最適なコミュニケーションをし、エンゲージメントを築いていくかを先に考えた上で、そのためにどういう接点がよいのか、を考えていかなければいけないなと感じております。
以前に書いたゲーミフィケーションのような考え方もこのロイヤリティフローに親和性が高いものですし、是非取り入くべきフローであると思います。