Oculus Riftが登場し、SF世界の代名詞だった「バーチャルリアリティ(VR)」がより身近なものになりました。

バーチャルリアリティとはテクノロジーによって人工的な環境を作り出し、まるで現実としてそこにいるかのように感じさせることを指し、ユーザーはVRを体験することで臨場感のある没入体験を得ることが可能になります。

特にゲーム業界では表現可能な世界が拡張されユーザ体験も広がる注目されている技術となっています。かくいう私も某大型オンラインゲームの住人なのであの世界に自分が入れたらどんなにいいだろう、と思っています(笑)

ただ、身近なものになったとはいえ、Oculus Rift は10万円ですし、自分で買うにはハードルが高いですよね。

最近はもっと気軽にVR体験を提供できるように、ということで簡易的なヘッドマウントディスプレイが提供されています。
そこで、今回は代表的な2つの簡易HMDを体験してみました。

ハコスコ

ハコスコは株式会社ハコスコさんが提供しているダンボール製のVRビューワーとスマホを使って、お手軽にVR(バーチャルリアリティ)体験ができるスマホVRサービスです。

メインとなっている製品は一眼レンズモデルで、組み立てもシンプルでした。

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デコるのも楽しい!

まずはスマホ(今回はiPhoneで挑戦)でハコスコアプリをダウンロード。

アイドルやアーティストの映像など思った以上にコンテンツが入っていました。

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まずは試しにしながわ水族館の映像を見てみましたが、やはり最初の感動は大きかったです。
右を向いても左を向いても、上を向いても下を向いても水族館にいる!
目の前魚が泳いどる!ここ会社なのに!

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続いて、男性社員がグラビアアイドルさんの撮影風景メイキングをチェック。

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どういう状況が中で繰り広げられているのか(笑)

こちらももちろん360°見回すことができ、グラビアアイドルちゃんを凝視していて、ふと振り向くとカメラマンがいる、という何とも気恥ずかしい気分になれます。

実際は一眼なので3Dで立体的に見えるということではなく、自分の視野に合わせたパノラマビューが楽しめる、ということと、HMDにより周りの光などが遮られたことによるさらなる没入感が得られやすくなっている、ということが特徴的なのかな、といった印象です。
とはいえ、VR体験に慣れてない人にとってはエントリーとしては十分なクオリティの体験だと思います。

Google cardboard

Google cardboardはGoogleが低価格かつオープンソースのヘッドセットとして設計しており、ユーザー自身が工作する方式で無料提供されています。

上記公式サイトのギャラリーに載っているように、図面をもとに自分でカスタマイズして作ることもできる、という楽しさもありますね。
とはいいつつ、レンズなど部品の用意が面倒な場合はいろいろな会社さんがキットを販売しているので、それらから購入しましょう。
ハコスコさんからも販売されています。

ハコスコとの大きな違いは二眼であること。これによりOculus Riftのような立体的な映像を楽しむことができます。

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AndroidではSDKが配布されているのでたくさんのアプリが存在するようなのですが、手元にはiPhone…。
ただ、ハコスコにもGoogle cardboardにも対応したアプリもAppStoreにいくつかあったので試すことができました。

VRのデモ映像といえばジェットコースター

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以前Oculus Riftは体験したことがあり、その比較だと、多少映像のクオリティに差が出てしまうとはいえ、ちゃんと立体視されてるし当然周りも見渡せるし、没入体験として非常に面白かったです。

今回試してみたアプリ

ハコスコ

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ハコスコ専用のアプリです。タレント出演映像などもありコンテンツとして興味深いものがたくさんありました。話題の全天球カメラ「RICOH THETA」のコンテンツもありました。THETA欲しい…。

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DiveZombie

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周囲から迫りくるゾンビを倒すゲームです。いわゆるFPSというジャンルになるのでしょうか。一眼・二眼両方対応。
ほんとにどこから迫ってくるかわからないのでぐるぐる見渡す必要があり目が回ります(笑)
3Dのゾンビは肌のヌルヌル感も伝わって真後ろから襲われた時にはほんとに怖かったです。

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Hiyoshi Jump

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カメラをつけた状態でジャンプすると逆バンジーのような感じで、上空に自分自身が打ち上げられそのまま落下する、を体験できるアプリです。
スマホの加速度センサーを利用して自分のジャンプきっかけで空に打ち上げられるという体験はさらに自分が世界に入り込んでいる感覚があり、おもしろかったです。
もちろん上空から真下を見下ろすこともできますし、また、飛ぶ前に周りを見渡すとスタッフさんが何人かいて、妙にリアルな気持ちになります(笑)

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DiVR

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二眼専用。自社でHMDも販売されていますが、cardboardでも利用可。
おなじみジェットコースターだけではなく、ヒーリング、ホラーといった様々なジャンルのVRを楽しめます。
その他男子から壁ドンされた気分になれる「壁ドン男子」、女子を壁ドンする気分になれる「壁ドン女子」は日本ならではのコンテンツもあり、こういう使い方は今後のマーケティングでの使い方のいい気づきになるな、と感じました。

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DINOTOWN

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恐竜がいる街を歩き回るという体験をすることができます。
周りを見渡すと様々な恐竜がいます。凶暴な恐竜に追いかけられたり、恐竜の背中に乗って空を飛べたりするので男の子にとってはたまらない体験なのではないでしょうか。
どうしても映像はスマートフォンでの表示になるので、クオリティに限界があるとはいえ、結構細かい描写でヌルヌル動くのは非常に気持ちがよかったです。
こんな感じであのゲームのあの世界を歩き回れたら…という可能性(というか妄想)にワクワクできるコンテンツでした。

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まとめ

気軽なVR体験、は思った以上に驚きがあふれる体験でした。
VRによりユーザーは投稿、シェアのような能動的な行動よりも気軽にコンテンツに「深く」「参加」することができます。

マーケティングの世界での利用としては、車の試乗、住宅の内覧、など「先に疑似体験できる」というわかりやすい使い方はもちろん、「●●のある生活」というような、直接的な商品訴求ではなく価値提供の結果ユーザー自身に起こりうるメリットを想起させるようなこともできるかと思います。
今流行の動画マーケティングがもっと自分ごととして感じてもらえるような広がりにつながっていくのかもしれません。

ただ、今回、社内メンバーと遊んでみたのですが、VRは一人で体験するものなので、感動体験が周りに共有できず、もやっとした気持ちになってしまったように動画自体を共有する、とか、動画を見るという体験を共有する、といった今までの動画をハブとした体験とは違う、個のエンゲージメントを高めるため、という風にターゲットと、目的を見極めた施策実施が必要だと感じました。

また、現状はVR自体が「目新しいもの」なのでユーザーにとって体験自体が特別なものになりますが、今後VRというものが当たり前になったとき、どのような価値や体験を伝えるのか、ちゃんとユーザー側のニーズを見据えてコンテンツを考えることが重要になってくると思います。

まとめ2(もう少し未来の話)

エンターテインメントの視点で見るとものすごくワクワクする世界がキタ!という感じです。

VR(仮想現実)は仮想世界に私たちが入り込む、という技術、そして、AR(拡張現実)は私たちの世界が広がる、という技術。さらに現実に虚構が入り混じるSR(代替現実)という技術。

前回のくぼさんの記事に出ていたサイコパスはARが発展した形だと思いますし、ソードアート・オンラインはVRの延長だと思います。
もう少し前であれば、「攻殻機動隊」や「東のエデン」など今の技術とシンクロした未来、が描かれたアニメはたくさんあって、アニメとこの辺りの技術というのは切っても切れない関係なのかなと思ったりします。
(サイコパスやSAOの世界が現実になると怖いですが…。)

ただ、私たちが接することができる世界がさまざまな技術で広がっていくことで、人の価値や可能性にもさまざまな視点が生まれることになるのは間違いがないことだと思います。
そんな中でも、私たちは「人」という本質を常に見続けることで、新しい価値を生み出し、提供できるようなものづくりに励んでいきたいと改めて思いました。